できるだけ良い歯科治療を、安く受けるために #3

歯医者に関する知識

はじめに

こんにちは。「できるだけ良い歯科治療を、安く受けるために」、第3巻です。
前回までの記事で保険診療と自費診療の違いと、具体的にどのような治療があるのかをご紹介させていただきました。ですが、ただそれがわかっただけでも実際に役立てるのには難しいと思います。
今回は保険診療と自費診療のメリット、デメリットをお伝えして、それぞれどのように利用していくのがよいかという流れでご説明していきたいと思います。

皆さんが、皆さんそれぞれの価値判断に合致した歯科治療を受けるためにとても有用になること間違いなしです。ぜひご覧ください!

※本記事は、note掲載中の「歯科にかかるお金の話!”保険と自費はこう使い分けろ!”」の改訂版となります。

保険診療のメリット・デメリット

まず、保険診療のメリット、デメリットを先に見ていきましょう!

保険診療の良い点、悪い点

メリットに関してはわかりやすいですね!
やはり患者さんの負担する額が少なくて済むというのはとても大きいですよね。むし歯治療やかぶせもの、入れ歯など歯の機能回復を行うことができます。

デメリットに関しては、まず行える治療に限界があります
例えば矯正やインプラント、ホワイトニングなどは基本的には行えませんし、そのほかの治療に関しても定められた材料の中でしか治療を行うことができません。

また、見た目の回復にこだわることも難しいです。銀歯などが分かりやすい例ですね。むし歯を詰めて機能の回復はできるけれども、治療した部分が目立ってしまうという状態になります。

最後に治療にかけられる時間というのも一つポイントになります。これはクリニックの経営という側面が大きいです。
保険診療というのは国が治療の料金を決めているという特徴があります。ただ、その料金というのは、歯科医からみると治療にかかる材料費、難しさを考慮するとかなり低いなと思われるものが多いのです。つまり、単価とコストが先に決まってしまっているので、数でカバーしていくという戦略になります。しかし、クリニックを開いていられる時間は限界がありますので、数を確保しようとすると一つ一つの治療にかける時間を短くしていかなければなりません。
したがって、保険診療でクリニックを運営していこうとすると、どうしても一つ一つの治療にかける時間を短くせざるを得ないということになるのです。
これはクリニックがお金儲けのためにそうしているのではなく、そうしないと赤字になってしまうということなのです。保険診療という制度の負の部分といえるかもしれません。

自費診療のメリット・デメリット

続いて、自費診療のメリット・デメリットを見ていきましょう。

自費診療の良い点、悪い点

自費診療のメリットとして、見た目の回復にこだわることができることが挙げられます。
セラミックによるかぶせものやホワイトニングなどがよい例ですね。

また、治療の範囲も広がります。矯正やインプラントなどは自費診療でないと受けられない治療になります。

また、自費診療の場合は一つ一つの治療に時間をかけるクリニックも多いです。治療に時間をかけられるというのは、それだけで治療がうまくいく可能性は高くなります。どんな歯科医師でも、時間をかけた方が治療の精度が高くなることは間違いないですからね!

デメリットに関しては、やはり治療費が高いことですね。全額患者さん負担となります。

また、自費治療であればかならずうまくいくというわけでもありません。もちろん、保険診療と比較すると見た目への配慮もなされていますし時間もかけることが多いため、患者満足度は高い傾向にはありますが、高いお金をかけたからかならず満足いく結果になるわけではないということです。

保険診療と自費診療はどう使い分けるべき?

ここまで、保険診療と自費診療のメリット・デメリットを説明してきました。では、結局どのように2つを使い分ければよいでしょうか。
自分が実際に治療を受ける側になったらこうするかなという視点で考えてみました。

個人的には以下のように使い分けることをオススメします!

あくまで、個人的な見解ですよ

1に関しては良いかと思います。
矯正治療やインプラントを利用したいという希望があればこれは自費診療一択ですので、これは自費診療を受けるほかありませんね!

2, 3に関しては意見が分かれるところだとは思います。
できたむし歯が小さかったり、逆にできたむし歯は大きかったが一か所だけという場合などは自費診療できっちり治療して、治療後もしっかりメンテナンスを継続して、今後それ以上治療する必要がないような状態をキープしていくことが良いでしょう。
要治療箇所が多い方というのは、もちろん現時点でも自費診療主体ではかなり費用がかさみますが、そもそもむし歯、歯周病等になりやすい体質であるとも言えます。つまり、今後もさらに治療すべき箇所が出てくる可能性が高いということです。
そのような方の場合は高額な自費診療を選択するより、保険診療を利用した方が長期的な視点からしてもよいと判断できます。小さいころからむし歯がよくできていた方も、むし歯になりやすい体質ということで保険診療主体にしてもよいかもしれません。

小さいお子様の歯科治療に関して悩む親御さんも多いかと思います。ですが、基本的には保険診療で問題ないと考えます。
乳歯はそもそも生え変わってしまうものであり、永久歯が生えてくるまでその機能を果たしてくれればいいと考えますと、高額な自費診療を施すメリットは少ないと考えられます。
ただし、小児矯正などを行いたい場合は自費診療になりますので、そこはご注意ください。


と、ここまで私の1歯科医師としての個人的な見解を述べさせていただきました。ですが、歯科治療にどこまで要求するかということは一人一人違うかと思います。そもそも歯科にお金をかけたくないという方もいれば、とにかく金額度外視で歯を長くもたせたいという方もいらっしゃるでしょう。

患者さん一人一人の価値観で治療を選択していただくのが一番だと思いますので、みなさんが価値観に合致した治療を選択するための参考材料としてお役に立てれば幸いです。

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OWNER:MAKOTO

東京医科歯科大学卒 現役歯科医師

音楽とか服あつめが好きです

詳しくは、プロフィールページをご覧ください。

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