今さら聞けない、、歯周病って何?(後編)

歯医者に関する知識

はじめに

こんにちは。
今回は、「今さら聞けない、、歯周病って何?」の後編になります。
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それでは、続きを見ていきましょう!

歯周病の診断

では、歯周病になっているかどうかはどのように診断するのでしょうか

歯周病になっているかどうかは、「ポケットの深さ」「歯の揺れ具合」「レントゲン写真」で総合的に判断します。

まず、ポケットの深さ

歯周病になると、骨が溶けるためポケットの底の位置が深くなります。つまり、ポケットの深さがある程度深くなっていると歯周病になっていると判断することになります

ポケットの深さが4mmを超えているかどうかが一つの基準となります。

「プローブ」と呼ばれる器具を使います。細い金属製の物差しですね。
出典:httpperio-fukuoka.infocolumn172

続いて、歯の揺れ具合

健康な状態や歯肉炎の状態では、基本的に歯が揺れることはないので歯が揺れていればほぼ間違いなく歯周病になっているとの判断になります。ただし、明らかな揺れがなくても歯周病になっていることはありますので、揺れていなければ大丈夫というものではないです。

最後にレントゲン写真

レントゲンを撮影し、骨が欠けているような像が確認できればその箇所は骨が溶けていて、歯周病になっているという判断になります。ただし、レントゲン写真は一方向からの情報しか得られないため、ほかの判断材料も含めて総合的に診断していくことになります

歯周病の治療法

ここまで歯周病の怖さをお伝えしてきました。最後にその治療法をお伝えします。

が、一番怖いのはここです。

それは、「完全な治癒は非常に難しい」ということです。

方針としては、「現状以上の進行を抑制する」という方法がとられます。

具体的な方法を見ていきましょう。
大まかには以下のように進めていきます。

  • 歯周病の進行状態の確認、歯の周囲の清掃状態の確認・改善
  • 歯周ポケット内部の汚れ、歯石除去
  • 再検査、歯石除去の再度実施
  • 以後、2,3を繰り返す

非常にざっくりしてますね(笑)。一つ一つ見ていきましょう!

  • 歯周病の進行状態の確認、歯の周囲の清掃状態の確認・改善

まずはここから始まります。
前述の歯周病の検査、診断を行い、治療対象となる箇所がどこにどれくらいあるのかを確認していきます

それと並行して、歯の周囲の清掃状態を確認していきます。
歯周病治療の第一歩は、正しく歯と歯の周囲を磨けるようになることです。磨けていないことには、歯周病の原因を断つことはできませんからね!歯の汚れの染め出しや実際に歯ブラシを使用しての歯磨き指導などを行います。ここは衛生士さんたちが担当することが多いかもしれません。

  • 歯周ポケット内の汚れ、歯石除去

歯、歯の周囲の表面がきれいに磨けるようになったら、ポケット内部の汚れ除去に移っていきます

歯周病の大きな原因は、この深くなってしまった歯周ポケット内部の汚れに繁殖した歯周病菌ですから、この汚れを取ってあげることが歯周病の治療には重要です。ですが、ポケット内部で時を過ごした汚れたちは、食べかす時代とは形を変え、がちがちに硬い物体になっています(これを歯石と呼びます)。

ですので、ポケット内部の汚れはブラシでは取ることができません。よって、ポケット内部の汚れの清掃には金属の器具を用います。そしてポケットから汚れを掻き出していきます。

この際、かなり痛みと出血を伴うので麻酔を使用して行うこともあります。

こちらがスケーラーです
出典:httpsgosoudan.dental-plaza.comtidings201702141008

  • 再検査、歯石除去の再度実施

歯周病が進行している箇所の汚れ除去が終わったら、まず一定時間おきます(だいたい1月から2月くらいです)。

これは汚れが取り除かれ、ポケット内部で悪さをしていた細菌がいなくなることによっておこる歯周病の治癒を待つためです。

そして再検査をし、治癒しきっていない箇所があれば再度汚れの除去を行います。

  • 以後、2,3を繰り返す

以降はこれの繰り返しです。
ただ、実際にはポケット内部の清掃は2回程度までにとどめ、それ以上は様子をみましょうとなることが多いです。

というのは、ポケット内部の汚れというのは歯の根っこの表面に付着しているため、清掃する際にどうしても歯の根の表面を傷つけてしまうのです。ですので、あまり清掃回数を増やしても、汚れを取る以上に歯を傷つけてしまうリスクが高くなるため、2回程度に抑えることが多いです。

歯周外科治療について

というわけで、大まかな歯周病治療の流れをご説明しました。

ほとんどの歯周病治療は前述の流れで行っていきますが、より踏み込んで歯周病を治療していこうという場合には外科治療を併用する場合もあります。そのような処置を「歯周外科治療」と呼びます。
こちらも大まかにご説明していきます。

ちなみに、この歯周外科治療に対し、前述の歯周病治療を「歯周基本治療」と呼ぶこともあります。決して自分が勝手に名前を付けてるわけではないですよ!

フラップ手術

歯周病になってしまった場合、すべての汚れが取りやすい場所にあるとは限りません。むしろ、磨きにくい所に汚れは溜まりやすいですから、取りにくい場所にあることの方が多いかもしれません。
そのような場合はその部位の歯肉を切って開き、歯の根っこの表面を露出させた上で汚れを取り、再び歯肉を閉じて縫い合わせるという処置を行うことがあります。これを「フラップ手術」と呼びます。(切り開いたぴらぴらした歯肉のことを「フラップ」と呼ぶためにつけられた名前だと思います。たぶん。)

この方法は歯周基本処置と比べて、汚れがどこにあるかが見える状態で行うので、よりしっかり汚れを除去することができます。しかし、歯肉を切ったり縫ったりと患者さんの負担は大きくなりますし、時間もかかります。また、切って縫った歯肉は治るときに少し縮むことがあるため、治療後は少し歯肉がさがることがあります(歯肉退縮と呼びます)。

歯周組織再生療法

歯周病が大きく進行して歯を支える骨ががっつり溶けてしまっていた場合、外科的に骨の元となる薬品を使用して骨の復元を図るという治療法もあります。これを「歯周組織再生療法」と呼びます。

まず、フラップ手術と同様に歯肉を切って開き、骨が欠けてしまっている部分を露出させます。そして、その場所に骨の形成を促進する薬品を置き、再び歯肉を戻し、縫合するという流れになります。

この方法は薬品がその場でとどまる必要があるため、あまりに大きく骨が欠けてしまっていると薬品が流れてしまって骨を再生させることができません。ですので、使用できるケースには限りがあると言えます。また、やはり患者さんの負担も大きいですし、時間もかかりますね。

歯周組織再生療法の手術の流れです。
切る → 掃除する → 薬剤を置く → 縫う ですね。
この図の「薬剤を置く」を省いたもの(下段の1番左を飛ばしたもの)がフラップ手術になります。
出典:httpscareer.whitecross.co.jpdstylelistskillup7240

おわりに

歯周病について、前後編通して長々とお伝えしました!参考になりましたでしょうか??

歯周病は一度かかると、ずっと付き合っていかなければいけない病気です。
重症化する前に治療して、なにより定期的な検診をかかさないようにしましょう!

OWNER:MAKOTO

東京医科歯科大学卒 現役歯科医師

音楽とか服あつめが好きです

詳しくは、プロフィールページをご覧ください。

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