大人の矯正治療、子どもの矯正治療

歯医者に関する知識

はじめに

こんにちは。
今日は歯の記事です。

歯科の知識を共有するためにブログを始めたのに、いつの間にかお金の話ばっかり書いている、、、(笑)
歯医者なところちゃんと出さないといけませんね(笑)。素性が疑われてしまう(笑)。

ということで、今回は矯正治療に関する記事です。

矯正治療を受けたことがある方、相談に行ったことがある方は聞いたことがあるかと思いますが、矯正治療には「大人の矯正治療」と「子どもの矯正治療」があります

それぞれにどのような違いがあるのかを解説していきたいと思います。

大人の矯正治療と子どもの矯正治療の決定的な違い

では、結論からお伝えします。

大人の矯正治療と子どもの矯正治療は、治療する目的が違っています

大人の矯正治療のゴールは、「歯をきれいに並べて、噛み合わせを改善する」

子どもの矯正治療のゴールは、「成長を利用して骨格の不調和を改善する」

では、一つ一つ詳しく見ていきましょう。

大人の矯正治療の目的

先ほどお伝えした通り、大人の矯正治療のゴールは、「歯をきれいに並べて、噛み合わせを改善する」ことです。

ここでいう「大人」というのは、「成人している」という意味ではなく、「成長が終わっていて、これ以上骨格が変化することがない」ということを意味しています。

ですので、高校生くらいのお子さんでも「成人矯正」を行うことはしょっちゅうあります。「未成年かどうか」で線を引いているわけではないのです。

ということで大人の矯正治療というのは、「決まった骨格の上に歯を並べ、噛み合わせを改善する」治療であると言えますね。

歯を並べる土台の大きさを変えることができないため、歯のがたがたを取ったり出っ歯を改善したりするために取れる手段は、「歯を抜いて本数を変える」ことだったり、「歯の大きさを小さくして少しでもスペースを確保する」ことだったりするわけです。
だからこそ、抜歯矯正という話は大人の矯正治療でしか出てこないのですね。

また噛み合わせの改善も、基本的には歯の位置移動のみで行っていきます。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正、裏側矯正という話は、その歯の位置移動の手段の選択なので、歯を動かす大人の矯正治療でしかお目にかからないワードということになります。

子どもの矯正治療の目的

その一方、子どもの矯正治療は、厳密には歯をきれいに並べることが目的ではありません。

未来あるお子さんたちは、大人である我々と違い、体の成長というアドバンテージがあります。これを利用して、骨格の不調和を改善しようというのが目的になります。

骨格の不調和の改善というのは、例えばがたがたが強いのであれば歯が並ぶ土台である骨の幅を広げてあげる、出っ歯感が強いのであれば下顎を成長させてあげる、受け口傾向なのであれば上顎を成長させてあげる、といった具合です。

子どものうちに骨格の不調和を改善させてあげることのメリットは、歯の抜かずに済む可能性があること、後戻りしにくいことが挙げられます。

一方、ワイヤーを使ってバチバチに歯を並べていくわけではないので、大人の矯正治療ほど一列にきれいに歯が並ぶわけではありません。大人の矯正治療のような仕上がりを期待している方は、「え、これで終わり?」という感覚になる方もいるかもしれませんね。


また、子どもの矯正治療はあくまで「未成年の矯正治療」ではなく、「骨格の成長の余地があるお子さんの矯正治療」という意味なので、いつから矯正治療を始めるかというのも重要な要素です。成長の余地があまり残っていない状態でスタートしても、骨格を大きく変化させることは難しいからです。

具体例を見てみましょう

ここまで、大人の矯正治療と子どもの矯正治療の目的を説明してきました。

ですが、これだけだとイメージがわきにくい方もいるかもしれませんので、矯正治療の相談にいらっしゃる方のお悩みと、それに対して大人と子どもそれぞれの治療で、どのように進めていくのかを具体的に見ていきましょう。

☆歯のがたがたが気になる

大人:歯を抜いてスペースを確保する。ワイヤーもしくはマウスピースで歯を一列に並べる。

子ども:歯が並ぶ骨の幅を広げることでスペースを確保する。生え変わりを待ちつつ、がたがたがある程度軽減されることを期待する。

☆出っ歯感が気になる

大人:歯を抜いてスペースを確保する。ワイヤーもしくはマウスピースで前歯を内側へ引っ張り込む。

子ども:前歯の位置まで下顎を成長させ、出っ歯感の軽減を期待する。口回りの筋肉を鍛えたり、出っ歯感を悪化させるような悪い癖を取ることで、再発を予防する。

☆受け口が気になる

大人:歯を抜いてスペースを確保する。ワイヤー、ゴムを併用して下の歯を内側へ入れ込む。それでも改善が難しいほどの受け口であれば、手術を検討する。

子ども:下の歯を乗り越えられるくらいの位置まで上顎を成長させ、前歯の角度を調整する。それ以降は成長の程度をみつつ、その後の方針を検討する。

というように、同じお悩みでも大人と子どもで全く異なる方針になるのです。

おわりに

ということで、今回は矯正治療について説明しました!
何かの参考になれば幸いです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

OWNER:MAKOTO

東京医科歯科大学卒 現役歯科医師

音楽とか服あつめが好きです

詳しくは、プロフィールページをご覧ください。

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